件数が最⼤となった2013年の時点で、全国の⻭科医院数は約68,700件でしたが、2024年6⽉時点では、66,689件と、この10年ほどで約2,000件の減少となっています。今後、開業医の⾼齢化・後継者の不在により、閉院の流れが加速化していくと推測されます。また、⻭科⼤の定員削減・国家試験の難関化等により、若い世代の⻭科医師数が⾮常に少ないというのが実情であり、⻭科医院数の減少、激減による地域⻭科医療の崩壊が懸念されています。
⻭科医院の開設（開院）と廃⽌（閉院）のバランスは、以前は開設数が廃⽌数を⼤幅に上回っていましたが、コロナ前の2017年より状況は変わってきています。現在は、ほぼ同数の状態にあり、今後は廃⽌数が開設数を上回ると推測されます。
昨今の建築部材の⾼騰や全般の物価⾼、賃⾦の上昇等により、開業にかかる費⽤は莫⼤に増加している中で、今までの様に開業を推し進めることが難しくなってきているのは間違いありません。⾦利1%返済年数20年という条件が出るのは今や昔のお話で、⾦利2%返済年数15年が銀⾏側の基本的なスタイルになっていると感じています。
尚且つ、⼟地/建物/機材/運転資⾦/準備費/etcの初期費⽤は、2億前後かかるのが必然の時代となっています。１億で開業できた時代はまだ良かったと思えるぐらい、世の中の流れは⼤きく急速に変わり、⻭科医院開業において⾮常に⾼いハードルが設定されてきているのが、今とこれからです。
先述した通り、イニシャルが莫⼤にかかることが⼤きなリスクとなることがあります。⾃⼰資⾦を潤沢に⽤意できている、親御さんや親族からの補助がある等のケースでは、この開業のスタイルが⼀番望ましいと⾔えるかもしれません。資⾦が潤沢になく、必要費⽤のほとんどを融資に頼る場合は、よっぽどの覚悟とテクニカル、資質がなければ、返済に飲み込まれてしまう可能性が⾼く⾮常に危険です。
イニシャルを⼤きく抑えることができることが最⼤のメリットとなります。また、患者さんをそのまま引き継げるメリット、スタッフも同様に引き継げるメリットがあります。ただ、同時に患者さんを引き継ぐ、スタッフを引き継ぐことは裏を返せばデメリットにもなります。⾃分がイメージする⻭科医療提供が実現できるか？それは患者さんやスタッフと⼤きな相関性があります。患者層が⾼齢の⽅ばかり、メンテの意識は希薄、スタッフは作業として仕事をしている、勉強する意識がない…居抜きはイニシャルは抑えられ、ある程度の業績は担保できますが、それが逆に⾜枷になる可能性もあるので、⾃分のイメーじとマッチングするか否か、しっかりと考えていかなければなりません。
コンビニ跡や施設のテナントでの開業は、上記の中間に位置するものとなります。イニシャルは⼟地開業よりは安く済みますが、居抜きよりは⾼い。内装費も数年前の倍になっており、50坪ほどの場合、4,000万ほどはかかります。それに器材は全て揃えることになるので、運転資⾦や準備費を加味すると、1億はかかってきます。その上でスタートしたあとは賃料が毎⽉かかってきますので、返済⾦額としては、⼟地からの開業と変わらないケースもあります。
個⼈的には、⼟地から開業し、ご⾃⾝が０から積み上げて地域に⻭科医療提供をして欲しいというのが⼤前提ありますが、外的要因の変化により、それもなかなか⾼いハードルになっているのが現状です。そこで、事業承継でストレスを軽減できればという話になるわけですが、先述したようなメリットの裏に潜むリスクもありますので、しっかりご相談した上で、候補となる案件をご紹介することが重要だと考えています。
弊社は、⻭科専⾨のコンサルティング会社として、地域⻭科医療の維持・持続に向けて貢献すべく、2024年9⽉、医療専⾨M&Aチームを持つ「株式会社 近⽥会計事務所」様と業務提携を締結致しました。
弊社の役割としては、⻭科専⾨の視点（Dr の年齢/地域性/診療コンテンツ/スタッフの質等）から、買う（承継する）側のDrのメリット等を分析し、伴⾛するところとなります。特に、承継する側の先⽣がやりたい治療の実現の可能性を重要視し、ストレスのない開業に向けてのサポートに尽⼒する所存でおります。開業したい先⽣、閉院を考えている先⽣、まずはお気軽にご連絡頂ければと思います。
