コラムColumn

2021.12.30開業支援

開業までの道 #融資交渉にむけて(1)

今回は、開業までの過程の中で最大のイベント(壁)とも言える融資交渉についてお話ししたいと思います。


 

開業という文字が頭に浮かび、いざ準備を始めようと思ったときに最初に何が頭に浮かびますか


 

理念・ビジョン? 商圏? 土地?

器材? 建築? 人材雇用?


 

先生により、思い浮かぶ項目や序列は様々かと思います。

逆に何も思い浮かばない場合は、開業はもう少し先の事として考えましょう。


 

全ての項目に重要な意味があり、これらの組み合わせにより開業に辿り着きます。


 

では、開業するときに必要なものは何か?

頭の中のイメージを形にするために必要なものは、


 

”お金”です。



では具体的にいくらぐらいの”お金”が必要になるのか?

 

<土地購入から始めた場合>

最近の傾向としては、開業時の必要費用は

150,000,000円前後(1.3億〜1.7億程度)となります。

(弊社 直近2年の開業支援実績より)

※土地の価格や賃借契約等により差異はあります。


 

「1.5億!」 なかなかの金額ですね!

目の前で1.5億の現金を見る機会などほとんどの場合無いかと思います。

では、この1.5億をどうやって準備するか?


 

1、自己資金で賄う

2、自己資金+銀行融資で賄う

3、全て銀行融資で賄う


 

一番ストレスがかからないのは、

1の自己資金で賄う!ですね?


 

・・・・・


 

全てを自己資金で賄える先生はほぼ皆無です。

ですので、可能としては0ではありませんが1については除外して考えます。


 

一番融資交渉に不利なのは、

3の自己資金0です。


 

開業を検討する先生は当然のことですが、若い先生が多いです。

研修医を終わって2,3年で開業をする先生もいれば10年程度の経験を積んで30代半ばで開業する先生もいらっしゃいます。


 

自己資金 0で融資交渉に挑む先生も少なくありませんが、

融資実行の内容として、良い条件を引き出すのは難しくなります。


 

自己資金は、頑張っても1,000~2,000万程度となります。

親御さんの補助があれば、そこは別ですが。

そこでほとんどの先生は、2の自己資金+銀行融資で賄うという形が一般的となります。


 

では、自己資金はどれぐらいあればいいのか?

これは考え方や様々な要素が絡むので一概に言えませんが、一般的な考え方からいくと総額の30%程度が望ましいかと思います。


 

<1.5億の費用が必要であれば>

1.5億×0.3=4,500万を自己資金として保有

残りの1.05億を融資にて賄うという形になります。


ですが、現実的には4,500万の自己資金を準備するのは非常に難しい。。

ほとんどの先生は、頑張ってもこの半分または1/3ぐらいまでしか準備できないかと思います。


 

その場合は状況によりですが、器材をリースに回すなどして帳尻を合わせることは可能となります。
ここで注意点として申し上げたいのは、リースに回すのは最後の手段ということです。
持っている自己資金で融資交渉に挑み、そのリアクションから次の策を検討するという形になります。


 

リースは返済期間がそれぞれ決まっていますので、その分月々の返済額は圧迫することになります。
メリットはその分の返済が早く終わるぐらいです。

開業からの1年は利息返済のみで交渉するケースがほとんどですので、最初は返済のストレスを感じづらいのですが、2年目からは元金の返済が始まります。


 

この時に返済額が一気に増えることになりますので、それまでに売上の山(粗利)を高くしておかないとキャッシュフローに問題が生じることになります。


 

また、親御さんの資産や担保等の状態により融資の条件も変わってきます。


 

現に自己資金0で1.3億ほどの融資を実行してくれるケースもありますが、

親御さんが保証人になる等の条件は付いてきます。

信用保証協会での保証付融資という形もあり、その場合は金利でいうと0.4%前後高くなります。


 

融資交渉の話は一概に言えない部分が多くあるのでここでは割愛しますが、

まずは以下のことをしっかりと実行していくことが重要です。


 

1、自己資金をとにかく貯める

2、理念をしっかりと作り込んでおく

※理念ができれば開業する場所や建築・器材・人材に全てリンクしていきます。

3、親御さんの協力が得られるか事前に確認しておく


 

<1.2億の融資を受けた場合の返済例> 必要額 1.5億 自己資金3,000万として

※返済 20年 据置 12ヶ月 金利 1.2% として試算


 

初期12ヶ月の返済額 月の返済額 120,000円(据置期間12ヶ月 利息のみ)

2年目以降の返済額 月の返済額 588,855円(利息+元金)


 

毎月これだけの額の返済があります。

これに人件費・その他の経費がキャッシュアウトし、残りが利益となります。

先生の医院の売上がどこまでのレベルで上がるか上げれるかにより、仮に融資を受けれたとしても返済で厳しいということもありますので、売上イメージと返済額のバランスをしっかり見る必要性があります。


 

歯科医院の開業は、厳しい。。。

と言われるケースもありますが、個人的な考えとしては決してそんなことはありません。
しっかり事前準備をして取り掛かれば、倒産するようなことにはならない業態です。

外因に左右されない強い業態。それが歯科だと思います。


 

開業前にテクニカルを身につける、また、スタッフを雇用することが必須なので、人間的にもその資質を備える。
開業までにそのあたりを意識していただければ、路頭に迷うことはありません。
適切な歯科医療を提供できるスキルと意識が身に付いていれば、問題はないと考えます。


 

今回はここまでとします。

次回は、実際にかかる費用(建築・土地・器材・準備費・運転資金等)について出来るだけ詳細に書いてみたいと思います。それらが積み上がって必要額1.5億となるので、今回のブログを読んだ方は次回(1/30更新予定)もあわせてご覧頂ければと思います。


万全な準備をして融資交渉に臨むために、


 

「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。

歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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