コラムColumn

2023.10.29コンサルティング

そのツール必要ですか? #真のファン化を考える

今回は、患者啓蒙やコンサルテーションで活用するツールについて書いていきたいと思います。
後半かなり脱線しますので、ご了承ください。

 

俗にいうコミュニケーションツール。

最近は、有って当たり前の時代となっていることもあり、新規開業時の器材選定では必ず候補としてあがるものですし、既存歯科医院でも説明用ツールの導入を検討するケースは多いかと思います。


 

コミュニケーション時代。

そういった観点から言うと、とても的を得た投資といえます。

ですが、ちょっと待ってください。


 

導入することがゴールになっていませんか?

「コミュニケーションツールを導入してスキームができたから安泰だ!」

ということになっていませんか?


 

本来コミュニケーションツールは、しっかりとした説明を行うための補助ツールで、ファン化を図るための武器だったはずです。

 

ところが現実はどうでしょうか?


 

稀な例かもしれませんが、医院によっては仕組みを固めてほぼ無理矢理な形で説明をし、患者さんが後退りするケースも多いように思います。

 

要は型にはめるというやつですね。


 

医院側はしっかり説明した/出来たと思っています。

患者さん側は、なにやら説明ばっかりされて苦痛だった...となります。

お互いに時間は共有したのですが、捉え方がプラスとマイナスで逆方向んに大きく違っています。


 

医院の仕組み化は必須ですし、啓蒙の観点でもそういった時間は有意義なものだと思います。


 

ですが、こちら都合の仕組みに患者さんをはめ込むだけのテンプレート的啓蒙では、逆効果になることもあるということです。「ファン化のために導入したはずが、逆に離脱予備軍を製造してしまう。」

そんなリスクもあるのではないかと思います。


 

コミュニケーションツールと呼ばれるものは、様々なメーカー様から発売されていて、それぞれに特徴や強みを持っています。それが自院のスタイルに合うかが重要で、先生の方針と合致したツールが導入されるのはとても良いことだと思います。


 

○画像を撮影して患者さんに見せながら説明する

○歯周検査の状況をイラスト化して可視化する

○動画を撮影して、患者さんに見せながら治療説明する


 

これらがツールを使用して実現できるわけなので、使い方によっては大きなメリットをもたらすものだと思います。


 

しかし、ここで問題なのが、仕組みに頼りすぎてないか。

ということです。


 

例えばですが、

説明に一生懸命になって、相手の目もみない..

これでは仕組みの中での仕事としては◯でも本質の部分は×ですよね。

伝えた気になって、実は伝わっていない。


 

よく聞く話ですが、これは仕組み化の中で起こる弊害の一つであるかもしれません。


 

ツールを使用する本質はファン化の補助です。

伝わらない説明をしていては、全く意味をなさないものであることを認識することが大事なことだと思います。


 

プレゼンの場で、身振り手振りが大きく自分に酔っているタイプの方がいますが、あれは一方的に語って気持ちよくなっているだけで、聴く側に伝わっているかはまた別問題です。ある意味メンタルは強いと思いますが,,

仕事柄、たくさんの歯科医院様にお邪魔させて頂いております。

その中で治療やメインテナンスをしていただくこともあります。


 

少し前のことですが、弊社のお客様である歯科医院様で治療をしてもらいました。

設備はもちろん最新のものが入り、建物も新しく今どきの歯科医院です。

今回のお題であるコミュニケーションツールも導入されていて、個室のカウンセリングルームもあります。


 

レントゲン撮影や検査を終えて、主訴である治療をしてもらう際に、先生が約3分ほどお話されました。
カウンセリングルームではなくチェアサイドでです。

明確な現状の説明、なぜそうなったかの原因説明、ライフスタイル等を加味して起こりうる未来の推測、口腔内全体の状態からの治療提案、etc...


 

迷いなく話す姿は、こちらを感心・納得させるに十分すぎるものでした。

口腔内写真やレントゲン画像はモニターに映していません。

また、検査結果の紙を見ながらでもありません。

ただ、現在・過去・未来について、真摯に治療法の選択肢を上げてくれました。


 

「ツールいらないかも…」


 

そう思った瞬間でした。

これが日常的に行える歯科医院では、ツールは不要なのかもと思いました。

啓蒙や見える化の手法としてツールがあると思いますし、今の時代そういった見える化は必要不可欠なものだと思います。


 

使い方、伝え方、伝わり方。


 

これはツールを使ったからどうこうではない。

的確な診査診断があり、そこから何通りかの適切な治療法をご提案する。

それが患者さんのライフスタイルや年齢、職業や趣味まで網羅してのものであれば、もうファンになるしかありません。


 

この3分でファン化してしまったわけです。


 

◯自費を勧める極意

◯カウンセリングで相手に伝える方法

◯相手にYESと言わせるコミュニケーション法

◯画像やイラストで心を掴む

◯松竹梅で竹をメインにして売上UP

Etc…


 

世の中には、そういった手法的・経営的なセミナーや勉強会などが溢れています。
しかし、本質を差し置いた手法だけでうまくいくわけなどありません。
本質に乗っけて上記のような手法を活用するのは意味があります。


 

先ほど経験談として挙げた歯科医師は、まだ若く未来も長い青年歯科医師です。

ですが、彼は適切な医療提供にたいして一切の妥協はありません。

柔らかい物言いの中にも自信に溢れる言葉は、裏打ちされた経験や努力から自然とでるものなのだと思います。


 

“テーラーメイドな医療をご提供”


 

人として歯科医師として、歯科医院を束ねる人間としての資質に溢れています。

先には苦労することもあるでしょう。

ただ、真の歯科医師として患者さまと向き合う姿に感銘を受けたのと、手法でファン化せずとも、言葉でファン化させる瞬間を体感できたと心から思いました。

話は逸れましたが、そういった先生の話をお伝えしたく、この場を借りて書かせて頂きました。


 

戻ります。

コミュニケーションツール。

今の時代には必須のものです。

ただ、導入して仕組み化すれば完結するものではありません。


 

所詮、人と人です。

本質をしっかり伝える能力と併せて使用することで、真のファン化を実現するものなのではないでしょうか?



「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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