コラムColumn

2023.12.31コンサルティング

売上を上げたい! #来院数を増やすことが正解ですか?

利益が残らない…

院長:「このままではダメだから、もっと患者入れて!」

よくある光景ではないでしょうか?


 

歯科医院経営の収支(収支と支出)の収の基本計算式は、患者数×単価。

そういった意味では間違っているわけではなさそうです。

患者数が増えれば、単純に売上もあがるわけなので的を得た策のように見えます。


 

が、ちょっと待ってください。


 

Q,そもそも、自院の状態が患者数を増加させられる状態にありますか?


 

○ユニット4台で40人/日診ている医院で増やせますか?

○マンパワーが充足していない医院で増やせますか?

○母数が潤沢に確保できていない医院で増やせますか?


 

答えはNOです。

粗利を上げるということは売上を伸ばすことと同定義です。

“患者数が増えれば売上が増える”は合っていますが、自院の状態を把握せずにその方向に舵を切ろうとするのは考えが浅いと言わざるを得ません。


 

そもそも患者数を上げて回せる状態にありますか?

自院が野戦病院でとにかく数を見るスタイルの医院であって、スタッフ数も潤沢にいるクリニックであれば、可能ではあります。※医療品質は置いての話です。


 

新規開業から2年ぐらいの医院に多いのは、母数がまだ安定していない状態です。

この状態で患者を入れてと言っても、そもそも自院の患者数が少ないので、無理な戦略と言えます。患者を入れるというのは、ある程度のレベルで患者数を確保している医院にのみ可能な発言となります。


 

自院のステージや診療スタイル、マンパワーの状況、診療コンテンツ、それらがどういった状況にあるかを把握したうえで、粗利益をどう増やすか、どうすれば増加させることが出来るのかを考えることが重要です。


 

上記Qのいずれかに近い理由で患者数の増加が見込めない医院では、単価の引き上げが粗利増加への近道になるケースもあります。単価の引き上げが必要であれば、生産性の上昇よりも啓蒙力を上げて自費コンテンツを増やす、または手をつけてない分野を取り入れてプラスに持っていくなどがマストとなりますよね?


 

そのコンテンツが充実していないと、単価を上げるという戦略は意味をなさないものとなります。また、コンテンツを持っていても啓蒙力がないと、宝の持ち腐れ的な形で、結果として表れづらいものとなってしまいます。


 

売上を上げる時に、根拠となる関連数値や状況が把握できていないと、

可能性の低い、または的のズレた戦略を組むことになり、効果は期待できません。


 

では、関連数値や状況とはなにか?
○ユニット回転率
○マンパワーの充足率
処置ごとの枠時間
○自院の自費コンテンツ
○自院の啓蒙力


 

紐づく項目はまだまだありますが、特に重要な項目を挙げてみました。

ユニット回転率は、数を増やせるかどうかの指標となりますが、自院のスピードやボトルネックの有無など、チーム力により大きく変化する項目となります。


 

一患者ごとにしっかり時間を取る医院は7〜8回転、スピード感を持って無駄なく診ることが出来る医院は9〜10回転が目安となるかと思います。※回転率が高い医院が優れているというわけではありませんのでご了承ください。


 

仮にマンパワーが充足していて、母数も潤沢に持っているとすれば、スピードを上げる又は処置枠を改変することで、数を増やすことは可能になります。クオリティを担保しつつ上げることは最初は難しいかもしれませんが、スピードを意識することに慣れれば、クオリティをある程度キープしたまま、回転を上げることが出来るようになります。


 

逆に、マンパワーが不足していて、母数もそんなにない医院の場合は、回転率を上げて打開することは難しくなります。



○マンパワー拡充のために人員を確保する
○母数拡大のために、新患獲得のマーケティングを強化する
○自費のコンテンツを増やす


 

上記がやるべきことの候補となるわけですが、ただ取り組めば良いというものでもありません。スタッフ雇用は冬の時代ですので、福利厚生や診療時間等を再考し、選ばれる医院にしなければなりません。働きやすい環境を作らないとスタッフの確保は出来ないと覚悟を決める必要があります。


 

また、新患獲得のマーケティングもやり方は多様にありますが、何故、今まで新患が増加しなかったかということがまず何よりも考えなければならない部分となります。今置かれているステージにもよりますが、例えば開業から10年を超えて安定期を経験している医院や、開業から30年を超えてゆるやかな衰退期にある医院であれば、新患数が減少していくことは仕方のないことであり、ごく自然なことです。それが、開業から5年以内であるにも関わらず、新患数が少ない医院となれば、話は変わってきます。そもそも認知されていないといケースもあるでしょうが、基本的には患者さんの評価が低く、口コミの派生が出ていないと考えるのが正解のケースが多いです。


 

例えば、ホームページを改変する、予約システムを入れて24時間予約を受付する。

SNS等を運用して商圏拡大や情報開示を行う。


 

上記を行うことで一時的に効果は出てきます。ですが、口コミの派生までカバーしてくれるものではありません。医院として、患者さんに選ばれる医院になるためにテクニカルの向上や設備投資、接遇など、中の改善を同時に行う必要があります。それが出来て初めて、継続性が出てきますので、一時的に新患が増加してもあまり意味はないと考えるのが宜しいかと思います。


 

自費コンテンツの強化については、次回コラムで深掘りしたいと思います。

今回皆さまにお伝えしたいのは、売上(粗利)を上げるために、患者を増やすという至極当たり前のことが、実は医院の置かれている環境により、大きくやり方が異なるということと、それを実現するために必要な数値的根拠を持つことで、スピード感を持って戦略を組むことができるという部分、数値根拠はそういったケースに活きるということです。

 

レセプトから出る数値は、保険点数や母数、患者動態等(保険種別)を知ることはできますが、深掘りした医院の実態は見えてきません。それらを医院として把握することで、適切な戦略を組むことが可能となります。


 

自院の置かれている状況を把握した上で、より収支の収を上げる。

根拠を持って取り組むことで改善のスピードは上がりますので、紐づく項目も含めて、一度振り返りをしてみては如何でしょうか?



「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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