コラムColumn

2025.03.31コンサルティング

人件費の考え方 #比率が適正であればOKとなっていませんか?

今回は人件費の考え方について書いていきたいと思います。
物価の高騰が叫ばれている昨今ですが、人件費も大幅に増加してきています。最低賃金は10年前から1.3倍程度上昇しており、2020年代に1,500円まで引き上げる方針が政府から出ているのはご存知の通りです。 今後の働き手の確保がいかに難しいか、人件費の観点だけで見ても読み取れるのではないかと思います。

歯科医院における人件費率
では、歯科医院における適正な人件費率はどれぐらいなのか?
10年ほど前までは20%程度が相場だったように思います。それが5年間には25%前後となり、いまでは25~30%程度が相場となっているように思います。

皆さんのクリニックの人件費率はどれぐらいでしょうか?
※ここではスタッフのみの給与から人件費を考えていきます。

20%のクリニック
かなり人件費率は低めです。
財務的な観点でいえば、抑えられていて優秀!という見方もできますが、抑えすぎてスタッフの疲弊が心配になる率です。

30%のクリニック
比率でみるとかなり高めです。
財務的な観点でいえば、経費圧迫で大丈夫?という見方もできますが、スタッフへの還元という意味では優秀と言える率ではないでしょうか?

ただ、ここでひとつ疑問が生まれます。
先生同士または会計事務所等との会話の中で「人件費率は何%?」ということになることもあるかと思いますが、それはあくまでも売上に対してスタッフ給与にどれぐらいの比率を割いているかという指標です。スタッフが何人いて、それぞれにいくら払っているかは見えません。

人件費率を高めるメリットは、スタッフの満足度向上です。
働く対価が見合っていれば定着に繋がり、医院の安定経営に繋がるのですから当然と言えば当然です。医院側から見る何%という比率は、スタッフ側が感じる満足度とはイコールになっているとは限りません。何故ならば、先述した通りスタッフそれぞれに満足のいく給与を支払っているかが見えないからです。

では、どう考えるか?
人件費率は結果論であることを頭に入れるべきだと思います。

例)
A,人件費率が20%でスタッフ平均30万のクリニック
B,人件費率が30%でスタッフ平均25万のクリニック

上記のような2つの医院があった場合、スタッフ満足度はどちらが高いでしょうか?

答えは、明らかにAのクリニックとなります。
人件費率は低く、一見ケチなクリニックに見えますが、しっかりとスタッフに還元できています。
対してBのクリニックは、比率で言えばかなり還元しているように見えますが、一人ひとりへの給与は決して満足のいくものとは言えないのではないでしょうか?

人件費率は結果論ということです。
経費の中で占める割合が高いため、人件費率をしっかり把握し管理するというのは間違ってはいません。ただ、比率にばかり囚われて、本質であるスタッフ満足度を見落としてしまったら、比率など何の意味も持ちません。

一人ひとりにかけてあげたい給与をしっかり出してあげるには、人件費率はいくらになるのか?
これが本質です。

人件費以外の経費には、たくさんの勘定科目があります。その中で無駄にかかっている経費はありませんか?広告宣伝費、接待交際費、無駄に使っていませんか?仮に無駄があるのであれば、そこをダイエットしてしまえば、人件費に充当することができませんか?一度、経費の効果をしっかりと精査してみることをお勧めします。

比率比率に囚われると、柔軟な考え方が出来なくなります。
人件費以外の経費を見ずに考えてしまうのはリスクですし、一人ひとりに適正な給与を出せているのかも見落としてしまいます。

考え方
1、まずは出したい給与を積み上げてみること。
その合算が、現在の売上に対して何%になるのか?
2、次に人件費以外の経費削減を考えてみること。
削減できる金額がどれぐらいになるのか?

上記の考え方をベースとして、本来出したい給与に売り上げが足りてない場合は、いくら積み上げれば可能になるのか?を考える。※それを考える時に固定費と変動費を分けなければ計算はできないのでご注意ください。

ユニットを増やせば達成可能なのか?
人員を増やせば達成可能なのか?
箱を増やせないので単価を上げれば達成可能なのか?

クリニックにより、どうすればそれが叶うかは違います。
ただ、それを実現しなければスタッフの定着は難しいということを理解することです。
地域の平均値に合わせて給与を決めているだけのクリニックを多く見かけますが、それは間違いであると思っています。

自院の中で、自院の売上の中で、どれぐらい貢献してくれているか!
他医院は関係ありません。あくまで自院の中の問題だと意識して欲しいと思います。

評価が他の医院よりも5万高いから少し下げよう...
評価が他の医院よりも5万低いのはまずいから少し足し算しよう..

こういう考え方は、捨ててください。
競争相手は他医院ではなく、民間企業・一般企業です。
それらと比較しても高い評価(給与)を与えるクリニックを誰が辞めたいと思うでしょうか?
勿論、給与だけが評価ではありませんし、それだけでクリニックに残ってくれるわけではありません。ただ、間違いなく定着のために大きく関与するのが給与ではないでしょうか?

医院愛を持て!作業ではなく仕事をしろ!スキルを研鑽しろ!
対価が低ければ、誰がモチベーションを保って動けるでしょうか?

経営側が、しっかりとした評価をしてあげることでスタッフ定着は叶うものです。スタッフに医院愛を持って欲しいのならば、横並びの給与ではなく、他よりも高い給与を出してあげること。その上にモチベーションが乗っかり、日々の自己研鑽やチームの一員としての覚悟が生まれてくるものです。

ご縁があって入職してくれたスタッフが、辞めずに働き続けてくれることは医院にとって利益を多く齎す根源となります。人件費率が何%かは、結果論。それを実現するためにどうするかを考えるための指標でしかありません。

スタッフ一人ひとりに、本来あげたい給与はいくらなのか?
一度、スタッフさんの顔を思い浮かべて、考えてみる時間を作ってはいかがでしょうか?


「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。

歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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