流入と定着を考える #分解して考えることで医院の弱点を探る
今回は流入と定着について書いていきたいと思います。
そもそも流入と定着とは何か?
大きくは、以下の2つに分けられます。
1、新規患者(流入) 治療継続(定着)
2、治療終了患者のメンテIN(流入)メンテ継続(定着)
今回は、2の”治療終了患者の流入と定着”に軸を置いて書き進めていきます。
1についても軽く触れたいと思います。
新規患者の流入
医院側は、基本的に ”待ち” となります。
口コミの派生で流入を取り入れる
広告戦略(SNS含む)で流入を促す
上の二点が主な戦略として挙げられ、それぞれに取り組み方は変わります。
一番望ましいのは、口コミの派生で流入が増加することです。
理由はシンプルです。
既存患者が良い口コミを流してくれたということは、医院に通っていて何かしらプラスの部分があったからです。
◯受付の接遇
◯スタッフの対応と会話・テクニカル
◯Drの治療技術
上記のような様々な要因がありますが、なにかに満足したから身近な人にも教えたい!
という心理状態になるわけです。
一方、広告戦略で流入を促すのは今の時代は無視できない必須戦略となりますが、こちらは定着の観点から長い目で見ると、医院力と連動するため不透明な部分となります。
ネット広告・医院HP・インスタ等で外向きに発信し患者を獲得する戦略ですが、
来ていただいた時に満足を与えられない場合は、ドロップしてしまいます。
新患数は毎月多いのにレセ枚が積み上がっていかないクリニックは、この現象が起きていると考えられます。
ベストなのは、口コミの派生+広告戦略での流入がバランス良くあること。
自院の流入バランスをチェックしてみると、大枠の医院評価が見えるかもしれませんね。
では、本題に入ります。
治療終了患者のメンテ流入 メンテ継続(定着)
医院経営を考えた時に、大軸となる要素となります。
要は治療を終えた患者さんがどれぐらいメンテに流入し、継続しているか。
ということになります。
例えば、
先月の治療終了患者-10人
今月のメンテ流入患者(メンテ新患)-5人
※翌月からこの10人のメンテがスタートする前提で考察
メンテ流入率は、50%となります。
※カルテNOで追えれば正確なデータを弾き出すことができますが、今回は大枠のイメージで記載します。
この段階で50%の方がドロップしているということになりますね。
メンテ(口腔ケア)の重要性をうまく伝えられなかった患者さんが5割いたということです。
基本的に歯科の売上は、患者数の積み上げとなります。
「治療を終えてフィニッシュでOK!」
という医院は、これでもいいのかもしれません。
しかし、いつまでも新患を獲得して行かなければならないという、高いハードルが待ち受けていることをお忘れなく。
そういった医院は野戦病院と言われるような治療をこなして、点数を上げるというスタイルが多いのではないでしょうか?
「100歳時代・健康寿命延伸・オーラルフレイル・口腔ケア・8020運動・KEEP28….」
患者さん側のIQが劇的に上がってきている中で、今後も永続性の高い経営を保てるかという点では、非常に疑問が残るスタイルと言えるのではないでしょうか?
時代が健康志向に向いてきている中で、口腔ケアは欠かせないものとなります。
歯科医院に通って、プロフェッショナルケアを受け、ご自宅に戻ってセルフケアをしっかりと行う。
それが当たり前の時代・環境となっています。
Q,自院でのメンテナンス患者のシェアはどれぐらいでしょうか?
この質問にパッと答えられないとすれば、医院としてメンテを重要視していないということです。
・結構多い方だと思うな〜
・衛生士が忙しく動いているから多いんじゃないかな?
・俺の治療は少ないけど枠は埋まってるから、8割ぐらいはメンテかな〜?
というようなお話をお聞きすることがあります。
これでは、あまり宜しいとは言えません。
自院のメンテ患者数のシェアがどれぐらいあるのか。
スタッフさんと共通認識する項目となります。
メンテ患者シェアは、言わば”ファン化”の指標です。
この数値が低ければ、経営数値を伸ばしていくことは難しくなります。
また、一口にメンテシェアと言ってもこれでも実は不足です。
1、治療終了患者がメンテに入った数(率)
2、メンテ継続患者の数(継続率)
上記を分けて考えないと、本当の意味での戦略は組めません。
例)
メンテ患者-200人 レせ枚数-500枚
上記のような医院があったとします。
メンテシェアは、200/500= 40%となります。
数値だけ見れば、まあまあというところですかね。
地域で予防歯科(予防だけではないですが)と呼ばれる医院は、60%を超えるシェアを持ちます。
そこから見ると、まだまだ発展途上と言える部分はありますが。
以下のような2件の医院があるとします。
A医院>>>
先月治療終了患者 50人
当月のメンテ患者 200人
治療終了患者からのメンテIN 10人
メンテ継続患者 190人
B医院>>>
先月治療終了患者 20人
当月のメンテ患者 200人
治療終了患者からのメンテIN 16人
メンテ継続患者 184人
分解して上記のケースを読み解くと如何でしょうか?
読み解き方は何ケースかあると思いますが、どちらが今後伸びる医院だと思いますか?
そうですよね。
答えは、B医院となります。
※医院規模やスタッフ数・レセ枚等の背景記載がないので一概に言えませんが、この数値だけでの判断としております。また、先月治療終了患者が翌月に来院する前提として記載しています。
規模的には、A医院が大きいかなというイメージができるかと思います。(治療終了患者数より)
そう考えると、レセ枚はある程度あると予想できるので、メンテシェアは低いと推測できるかと思います。
メンテ流入は20% 程度。積み上がった継続患者は、B医院とほとんど差異はありません。
B医院は、これから伸びていくであろう医院という判断ができるかと思います。
メンテ流入率は、80% と非常に優秀な数値となっています。
新患の流入があれば、ほぼ確実にメンテへ流すことができる医院ということですね。
ただ、ここまでではまだ実は足りません。
メンテ継続率がどうなっているのか?
これが次に重要な要素となります。
これに関しては、話すとかなり長くなるので割愛します。
※先々のコラムに書きたいと思います。
2.3回目でドロップするケースが多ければ、真のファン化達成とは言えません。
しかしながら、かなり多くのケースで2.3回目でのドロップが起こっていると考えられます。
レせの積み上げ状況からもある程度推測はできます。
メンテは歯科医院経営の2本目の軸。(※1軸目は医院それぞれ)
流入と定着がどういうバランスでどういった数値になっているのか。
それが、過去と現在で良い方向に向かっているのか、逆に後退しているのか。
医院全体で状況を把握することが大事で、そこからどう取り組むべきかを考える。
意識して数値を見てみると、今するべきことが見えてくるかもしれません。
まだそういった分析をしていない医院様は、是非意識してみてほしいと思います。
「たかが数値。されど数値。」
医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢