スタッフの雇用と定着 #シンプルに愛はありますか?
今回はスタッフ雇用と定着について書いていきたいと思います。
Q,スタッフを従業員として考えていませんか?
いきなりの質問ですが、パッと上の質問をされた時どう答えますか?
「え?雇用契約を結んでいるんだから従業員でしょ?」
正解です。
従業員の定義は、
“企業と雇用契約を結び、雇用契約に基づいて雇用される人”
となります。
形式上は、従業員で間違いないわけなのですが。
気持ちの上でスタッフをどう考えているか?
ここが本質となります。
従業員
言葉だけを切り取ると、「上の指示に従い作業を行う人。」となります。
※勿論、本来の言葉の定義とは違いますのでご了承ください。
弊社のお客様とコンサルの月次でお邪魔する中で、スタッフ関連のお話が多くあります。
ここ数年、特に多くなってきた感じを受けます。
何故か?
「永遠の悩みだから」
が、正解ではないでしょうか?
“スタッフが続々入職してきて定着している医院”
“募集をかけてもなかなか来ず定着しづらい医院”
の二極化が顕著に表れているのが、ここ数年の流れだと感じます。
スタッフ雇用について考える時に大きく2つの段階に分けることができます。
一つは募集、一つは入職後の定着です。
まず募集について
魅力的な条件でなければ良いスタッフは集まりません。
それは、給与だけではありません。
福利厚生の部分が非常に大きい割合を占めます。
・社会保険完備か
・週休2日になっているか
・有給休暇の取得は可能か
・産休育休は取得できるか
・診療終わりの時間は早いか
・研修体制が整っているか
・残業代はしっかり出るか
・etc
上記をしっかり整備しないで、募集をかけても応募がない。。。と嘆いている先生
まずは、上記を完全に整えてください。
昔は違ったなどの考えは、今の時代には合いません。
売り手市場の現代なので、雇用する側が良い条件を提示しないと人は集まらない。
そんな時代です。
言うならば、医療の労働環境が健全化してきている中で、一般企業の雇用条件と足並みを揃えることが必須というこです。
入り口の段階で数ある歯科医院の募集の篩から落ちているようでは、この先も雇用は難しいと考えるのが賢明です。
また、スタッフの出入り(退職)が多い医院はどんどん雇用は難しくなります。
これは人間心理からいうと当然ですよね。
「辞める人が多いということは何かあるんだろうな。。。」
そう考えるのは当然なので、勿論入り口の段階で篩から落ちてしまうわけです。
定着について
ご縁があり、お互いが合意の上で入職したスタッフ。
出来れば長い期間に渡り、共に仕事をしていきたいですよね。
誰もそのうち退職して欲しいと願って、雇用もしなければ入職もしません。
退職に至るには、何かしらの原因があるわけです。
一番は、女性の職場ということもあり、人間関係が挙げられるかと思います。
次に求人票と現場での仕事内容の乖離、また給与を含めた条件面での乖離。
何かしらの不満が生じ、それを解決できないうちに頭の中が退職という方向に舵を切ります。
そういう悩みや不満があるなら言って欲しい!
そう思った先生もいらっしゃるのではないでしょうか?
ちょっとお待ちください。
雇用される側として、雇用する側にそういった意見をぶつけるのは相当な覚悟が必要です。
一歩間違えば、その場で「もう要らない」と言われる可能性がありますから。
悩みに悩んで出す答えが、“退職”となるわけです。
その時にのそのスタッフに退職の理由を聞くこともあるかと思います。
ほとんどの方は、本当の退職動機を言うことはありません。
何故か?
言いづらいからです。
本当のことを言うのはストレスがかかるから、適当な退職理由をつけて辞めていくんです。
・親が調子悪くて面倒を見なければならない
・違う仕事をしてみたい
・知り合いから仕事の手伝いを頼まれた
・etc
「そうかそうか!だったら仕方ないよね〜。。」
ではないんです。
これを真っ直ぐに受けて取る先生は、ある意味素直なのかもしれません。
その言葉を発して退職するスタッフの今までを思い返してみてください。
きっと、何かしらのサインはあったはずです。
それを見逃して、どんどん遠ざかっていってしまった時に退職という事態に至る。
要は、普段から一人ひとりをしっかり見る・気に掛けるということが大切ということですね。
シンプルに“愛”はありますか?
関係性の形式上は、経営者と従業員。
外部で発する言葉も“うちの従業員”でも良いでしょう。
ですが、スタッフは歯科医療を提供する仲間です。
その仲間を受け入れたのは院長であり、経営者である先生ご自身です。
せっかくご縁があって一緒に働くことになったのですから、大事にして欲しいと思います。
その方の人生も背負う覚悟がありますか?
もし無いのであれば、ワンオペでスタッフは雇用しない方が、みんなが幸せかもしれません。
覚悟があるのであれば、一人ひとりをしっかり見てあげましょう!
スタッフ一人ひとり個性があります。
・どう接すればその人は笑顔になるのか
・どう接すればその人の能力を最大限引き出せるのか
・どう接すればその人が喜ぶのか
・どう接すればその人が凹むのか
・どう接すればその人の承認欲求が満たされるのか
・etc
一人ひとりをしっかり見てケアすること。
それも経営者の責任です。
愛を持っている先生のところは、スタッフの定着率が高いのは間違いありません。
優しくすればいいということではありません。
時には厳しくしなければいけない時もあると思います。
ですが肝は、愛があるか。
スタッフに対して愛があれば、
・福利厚生も良くしていこうと思うでしょう。
・診療終わりの時間も早めにして、スタッフのアフター5の充実を願うでしょう。
・お給料や賞与も沢山あげたいと思うでしょう。
・スキルアップのための過程を全面的に応援して、その人の充足感・満足感を共有したいと思うでしょう。
至ってシンプルなことです。
本質部分に愛があれば、それは行動に表れてスタッフにも必ず通じます。
難解なセミナーやスタッフマネジメントセミナー等で得られものもあるでしょう。
ですが本質は、気持ちの部分なんじゃないかなと思います。
スタッフは先生の写し鏡
良いスタッフが育たないのは、先生ご自身に問題があることが多いです。
また、退職を繰り返す医院は、総じて仕組み以外にそういった無機質な部分が多いように感じます。
マネジメントという言葉はとてもカッコいいですよね?
ですが、いくらその思想や方法を学んだとしても、本質である”愛・感謝”の部分がなければ積み上がらないことだと思います。
人間なので、承認欲求がありますからね。
「私、◯◯歯科で働いているんだよ〜♩」
スタッフ全員が家族や友達に誇らしくそう言える、医院になれたら最高ですよね。
先生ご自身が変化していくことを意識してスタッフに愛を持って関わることで、安定的な状態で歯科医療を提供できる場所が作れるのではないでしょうか。
「たかが数値。されど数値。」
医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢