人材採用のために Capter1 ”応募したくなる条件”
今回は雇用(人材採用)について書きたいと思います。
”スタッフの人材難”と言われて久しいですが、これから先も改善されるような状況は見えてきていません。
感覚的には、この5年ぐらいで急激に人材難の状態になったように思います。
受付・歯科助手・歯科技工士・歯科衛生士・クリーンスタッフ etc...
歯科医院で働く職種は様々です。
「数年前は、求人を出すと数名は面接希望があったのに...」
「歯科助手や受付も大人数から選べたのに、今は応募が1,2名...」
ほとんどのクリニックが上記のような感じで、大なり小なり求人の問題を抱えているのではないかなと思います。
様々な職種の中で、特に”人材難”と呼べるのは、歯科衛生士です。
ではなぜ、歯科衛生士が人材難になったのでしょうか?
1、口腔ケアの重要性が認知され、歯科衛生士の絶対数が足りない
2、休眠中の歯科衛生士が多くいる(免許登録者の半数以上が休眠中)
※歯科衛生士の人材確保・復職支援等に関する検討会報告書 H29.6 (公社)日本歯科衛生士会 より
3、予防歯科の流れで歯科衛生士の在籍に偏りがある(予防を前面に出しているクリニックに集まる傾向)
4、歯科衛生士予備軍の減少(3年制・看護師との給与面での差異等)
5、時代とともに歯科助手の業務範囲が限られてきた(これは以前からですが...)
パッと思い浮かぶ要因として上記のような項目が挙げられます。
このような状態で、クリニックは求人を出して雇用をしなければなりません。
今回は、”応募したくなる条件”にフォーカスを当てて書き進めて行きたいと思います。
以下の内容が、応募者が見る内容ではないかと思います。
※これは弊社が、医院見学・面接・スタッフ面談等で関わる中でスタッフまたは応募者からヒアリングした内容となります。以下が充実しているクリニックがまずは応募者の心を捉えると判断することが出来ると考えられます。
1、社会保険完備
2、年間休日数 3桁
3、診療終了時間
4、有給休暇取得
5、産休育休実績
順番に見ていきましょう。
1、社会保険完備
歯科医院では、国保が当たり前だった時代が長くありました。
これは個人事業として開業している先生が多かったためと考えられます。
ですが、今はこの条件では非常に厳しい時代となっています。
国民健康保険・国民年金から社会保険・厚生年金への移行が必須です。
将来を考えると社会保険完備が強いのは揺るぎませんので、そこは応募者がしっかり見ています。
2、年間休日数
医療の現場なので、2桁でも仕方ないだろう! では、今の求人は難しいです。
例)週休2日で月8~10日のお休み+祝日・GW休暇・夏季休暇・冬季休暇で、年間 120日
例)週6日勤務(土曜半日・日曜)+GW休暇・夏季休暇・冬季休暇で、年間 85日
これを見るとどちらに応募が集まるか一目瞭然ですよね。
仕事は仕事、プライベートも充実したい。これが今の時代の流れです。
例えば、日祝休み・水土半日の医院と日祝休み・木曜休みの医院があります。
実際の労働時間はほぼ差異がありませんが、求人の休日数は大きな違いが出てきます。
片や、年間休日-85日 片や、年間休日-120日(例)
半日でも出勤することは休日にはなりませんし、スタッフさんの意識的にも休みとは思えないでしょう。
これからの時代の流れを考慮して、年間休日数を見直す必要性があるかもしれません。
3、診療終了時間
数年前までは19:30まで診療、20:00まで受付など、夜間診療を行なっているクリニックが普通にありました。
ですが、ここ数年は17:00まで受付 18:00診療終了。というスタイルが増加してきています。
これは、スタッフのことを考えての流れであると認識しています。
仕事を終えたあとも自分の時間で何か出来るように。
それが出来ることで日々のモチベーションが保たれ、仕事にもプラスに作用することになります。
例えば、今まで2時間取っていた昼休みを1時間にして、診療終わり時間を調整する。
これは診療時間がマイナスになるわけではないので、非常に有効です。
他にも朝を多少早める等で、改善出来る場合もあります。
4、有給休暇取得
以前の歯科医院は、有給休暇が非常に取りづらい業態だったと思います。
原因の1つとして、スタッフ数に余りがなく、一人が休めば診療が回らなくなることが挙げられます。
現在は、年5日の有給休暇義務化(労働基準法改正 2019.4~)等があり、有給休暇に対する考え方も一気に変わってきているのが現実かと思います。本来取得権利のあるものを取得できないということは、スタッフ側からすると、非常にモチベーションの下がる案件になります。
医療だから!は言い訳。
スタッフがしっかり有給休暇を取得できるように、余りあり雇用をする体力をつける必要性があると言えます。
5、産休・育休実績
歯科医院は言うまでもなく女性の職場です。
適齢のスタッフは、基本的には結婚・出産というステージが訪れることになります。
その時にこの制度が有るか無いかでは、該当するスタッフのモチベーションが大きく変わってきます。
医院に貢献してきたスタッフが出産。
→サヨナラ...
医院-損失大..
スタッフ-次の就職先を検討..
医院に貢献してきたスタッフが出産。
→産休・育休
医院-近未来の復帰があるため、一時的に人材確保・または人員増員
スタッフ-未来が約束されているため、育児に専念→復職後も医院に貢献が可能
何よりも出産・育児のストレスがかかる時期でも未来が見えるため、メンタル的にプラスの方向に作用すると考えられますね! スタッフ側・医院側共にメリットのあることですので、女性の職場として当然のことを実施していくことが重要であると考えます。
上記以外にも応募者側視点の要素はありますが、特に大事な点を書かせて頂きました。
ポイントはたった1つ!
一般企業と同じ考え方をすること!
歯科業界の中だけで、スタッフの取り合いをしているわけでは無いということを忘れないことが大事です。
歯科衛生士であれば、病院や介護施設との取り合いがあります。
他の職種であれば、一般企業との取り合いがあります。
一般企業は福利厚生はしっかり整えているところが多いわけなので、そこと闘って勝てるかどうかです。
医療であり事業を行う歯科医院。
雇用(人材採用)に関して、まずは自医院を見つめ直すことが重要ではないでしょうか?
その先に、良い人材との出逢いが有るはずです。
次回はCapter2として、医院見学・面接について書かせて頂きます。
「たかが数値。されど数値。」
医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢