キャンセル率から読み解く #患者満足度との相関
今日は、”キャンセル率から見えるもの”をテーマとして書いていきたいと思います。
とは言っても、一般的なキャンセル率についての改善策や問題点ではなく、別な角度からのお話をしたいと思います。
キャンセル率は、医院経営を考えるときにまず最初に上がる項目であろうと思います。
自院のキャンセル率は何%なのか?
議題として、院内MTG等で意見を出し合うこともあるのではないでしょうか?
まず基本的なキャンセル率の出し方についておさらいします。
キャンセル率の計算式は?
※2020.7.30のコラムより転記掲載します。
https://www.fivebucks-c.com/column/index.php?sc=200807_205037&pn=0
<キャンセル率の求め方>
基本的に予約制、急患の受け入れがある医院様として考えてみましょう。
Q1,今日の来院数が50人。キャンセルが5人。
キャンセル率は何パーセントでしょうか?
A,キャンセル率は出せません。
Q2,今日の来院数が50人。そのうち急患が10人。キャンセルが5人。
A,キャンセル率を出せます。
当日の来院数とキャンセル数だけがわかる場合は、キャンセル率は出せないんですね。
理由は、アポイントの状況がわからないからです。
Q1の例でいうと、 来院-50人 キャンセル-5人ですよね。
よくある間違いとして、以下の計算式が挙げられると思います。
5÷50=10%
5÷55=9.1%
どっちが正解!? と思われた方はしっかりと読み進めて頂ければと思います。
上記のものは形上は方程式にはなっていますが、本質とは全くリンクしない間違った計算です。
Q2の例だと、どうでしょうか?
来院数−50人 (うち急患-10人) キャンセル-5人
5÷(50-10)=12.5%
正解!!!
っぽいですが、、、 不正解ですね。
答えは、
5÷(50-10+5)=11.1%
解くと、以下となります。
当日の急患人数=10人
*イレギュラーな流入ということになります。
総来院数が50人なので、元々のアポイントは40人
ということは、前日基準のアポイント数=45人(来院したアポ40人+キャンセルした5人)
*本来45人のアポが入っていたという事になります。
答えの方程式の内訳はこうです。
キャンセルした5人÷(総来院数50人-急患10人+キャンセルした5人)=11.1%
これが、キャンセル率の出し方となります。
以上、おさらいとして記載しました。
結構、間違ったキャンセル率の出し方をしている医院様があるので、ここでしっかりと覚えて頂ければと思います。
では、本題に入ります。
弊社のお客様の数値を毎月拝見していて、気づくことがあります。
それが今回のテーマとしているキャンセルと患者満足度の関係性です。
結論から言います。
※全てが完全にこの考え方に当てはまるわけではありません。
ですが、大枠当てはまると考えていただいて問題ないと思います。
◯キャンセル率が高いクリニックは、総じて患者満足度が低い
◯キャンセル率が低いクリニックは、総じて患者満足度は高い
何故か?
答えは、ファン化しているかしていないか! です。
患者さまとしっかりとコミュニケーションを取れている医院は、キャンセルが少ない傾向が見えます。
考えれば非常にシンプルで、「それはそうだよね」 というところかと思います。
適切な医療提供・説明・応対・会話・対話があって、しっかりと根底から信頼関係が構築されていれば、医院との約束を破ろうとは思いませんよね。
では、キャンセル率が高い医院はどうなのか?
◯愛想がなく機械的な扱いをされる
◯治療の説明がない
◯こちらの望む医療提供をしてくれない
◯話を聞いてくれない
などなど、要因としてあげればキリがないレベルで考えられることと思います。
それとよく見られるのが、「医院側が時間を守らないのに患者さまに対しての時間管理は厳しい。」です。
これは意外と医院自体に意識がなく、改善議題に上がってこない内容じゃないかなと思います。
少しでも遅れれば受付に無機質に言われる。
↓
言われたくないから、遅れそうな状況では無断でキャンセルしてしまう。(電話するのもなんか嫌...)
↓
再度の予約を取りづらい空気になり、他医院に移ってしまう。。。
あるあるじゃないでしょうか?
今回キャンセルをテーマに書いていますが、キャンセルは1回の穴あきのことを言います。。
他医院に流れた場合は、キャンセルではなく離脱として永続的な損失と考えなければなりません。
事態は深刻だと認識する必要があります。
自院の患者満足度を図るために、アンケートを実施している医院様もあります。
それは医院改善のヒントになることもあり、非常に良い取り組みだと思います。
ですが、その前に言わずともわかる患者満足度があります。
それがキャンセル率というわけです。
キャンセルと満足度の関係性
10%以上 ⇄ 満足度 50%以下
9% ⇄ 満足度 60%以下
8% ⇄ 満足度 70%以下
7% ⇄ 満足度 80%以下
6% ⇄ 満足度 90%以下
5% ⇄ 満足度 90%以上
3% ⇄ 満足度 95%以上
※弊社お客様の関連数値を元に上記相関指標として策定しております。
(キャンセル率・来院数増加率・母数拡大・メンテ流入・メンテ定着等、多角的な観点により満足度を設定)
語らずして満足度を知れる指標、
それがキャンセル率であると思います。
自院のキャンセル率がどの程度あるのか。
キャンセル率を改善するために自院でやるべきことはなんなのか。
キャンセルは患者さまだけが悪いわけではありません。
医院として、患者さまがキャンセルしないような立ち位置になっていくためにどうすべきか?
肝はここだと思います。
院内MTGで意見を出し合ってみることで、見えるものがあるのではないでしょうか?
※キャンセルの分析では本来TELありと無断の比率やキャンセル連絡の事前期日等を見る必要がありますが、今回のコラムでは割愛しておりますのでご了承ください。
「たかが数値。されど数値。」
医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢