コラムColumn

2024.09.30コンサルティング

歯科助手・受付の評価 #生産性がないから評価は低い?

今回は、歯科助手と受付に対する評価について書いていきたいと思います。
歯科医院で働く職種として軸となるのは、院長をはじめとした歯科医師、口腔ケアには歯科衛生士。この2職種が生産性を持った職種となります。他の職種としてスタンダードなのが、歯科助手と受付になりますが、この2職種は直接的に点数を稼ぐ仕事ではありません。

※最近ですと、保育士・看護師・管理栄養士等、他業種の職種を雇用するケースも増えてきましたし。また、生産性を担保する観点から、クリーンスタッフを雇用している医院さんもかなり増加してきていますが、今回のコラムでは除外して考えます。

こう考えるケースが多いのではないかと思います。
1、歯科衛生士は点数を上げて貢献してくれるので、評価してあげよう
2、歯科助手・受付は点数を上げるための補助的な仕事だから、そこそこの評価でいいだろう


仕事内容によるものなので、そこに関しては異論はありません。
しかし、それをそのまま評価の差異として考えるのは違うのではないでしょうか?

役割をざっくり再確認してみましょう!

1、歯科衛生士
国家資格を持った口腔ケアのプロフェッショナル。
1人前になるとメンテを毎日こなし、診療点数を上げる職種のひとつです。

2、歯科助手
診療補助をベースとして、生産部隊を補助。
片付けやバックヤード、様々な仕事をこなす必要があります。

3、受付
アポイントの管理、会計、窓口対応他雑務も行います。
診療の内容を把握し、コントロールする重要な立ち位置でもあります。

上記が一般的な役割になるかと思います。
医院ごとに比重や仕事内容は違いますが、大枠はこういった立ち位置となります。院長ご自身で上の3つの職種に対して書いてみると、院長自身が思っている各職種の仕事内容や期待度等が分かりますので、一度落とし込んで頂けると宜しいかと思います。

では、評価はどうか?
これが今回のコラムの肝となります。

まず歯科医院の収入構造をおさらいしましょう。
歯科医院の売上は以下の3つからなります。(雑収入は除いて考えます)

1、Dr治療による保険収入
2、DHメンテによる保険収入
3、Dr/DHによる自費収入


医院の色にや方針にもよりますが、大枠上記3つの足し算が医院の収入(売上)となります。
1〜3で記載した通り、登場する職種はDrとDHになります。
生産性も持った職種は基本的にこの2職種であるというのは間違ってはいません。

では、他の職種(歯科助手/受付)は何故必要なのでしょうか?
先生がこの2職種を雇用しているとするならば、何かしらの理由があるわけです。

例えば、以下のような感じです。
1、診療スタッフには中に集中して欲しいから、受付を雇用している
2、自分の治療速度を確保したいから、歯科助手を雇用している
3、電話応対や雑務で生産性を落としたくないから、歯科助手や受付を雇用している


なんか答えが既に見えませんか?
生産性を上げる、落とさないために、この2職種を雇用しているということになりますよね?
何故、国家資格を持たないこの2職種を雇用しているのか!

生産性を上げるために必要で欠かせないからではないでしょうか?

*例えば歯科助手がいない場合
先生の治療速度は落ち、例えば1日16人みている数は半減するでしょう。
8人×800点×20日=128,000点 1,280,000の自然損失

*例えば受付にアポイント能力がない場合
治療内容やスパンを考えない受付であれば、1日40人で組むところが30人になるかもしれません。
10人×800点×20日=160,000点 1,600,000の自然損失

*では、衛生士はどれぐらいの生産性になるのか?
メンテ枠60分基準の場合:8人×800点×20日=128,000点 1,280,000円
メンテ枠45分基準の場合:10人×800点×20日=160,000点 1,600,000円

極端な考え方にはなりますが、目に見えない生産性を持っているのが歯科助手と受付ではないでしょうか?
※様々な他要素を切り離してお話していますので、自院と乖離している部分があるかと思いますが、基本的な考え方として記載していますのでご了承ください。

目に見える分かりやすい数値を持っているのがDH、目に見えない潜在的な数値を持っているのが歯科助手と受付となります。こうやって数字で見ると、全ての職種が連携連動して初めて、医院の売上が立っていることが改めてわかる感じがしませんか?
 
DHは月1,600,000の売上を上げているから偉いんだ!
DAは補助だけだから生産性は0だよね...
受付はずっと座っているだけで楽だよね...


若い先生方は、上のような捉え方をしていないケースのほうが多いと思いますが、一定数、上記の考え方から抜け出せないDrもいらっしゃるように思います。歯科助手がいて効率的に先生の補助をすることで、数多くの方の治療を行うことができます。治療が終わるとメンテへ移行しますが、その母数を創り出しているのは先生と歯科助手であるとも言えます。

また、受付はコントロールタワーの役割を果たし、無駄のないアポイントや信頼関係の構築で目に見えない部分で貢献しています。電話応対しかり、患者応対しかり、受付の良し悪しで医院評価の大半が決まります。受付も歯科助手も数値で見えない部分で多大なる貢献をしていることに気づかない限り、最高のチームにはなり得ないと思っています。

給与についてよくご相談を受けますが、地元のある程度有名な企業レベルで出してあげることを目指して欲しいと思います。歯科衛生士であれば400万、歯科助手や受付であれば350万。この差は国家資格を持っているか否かとなりますが、これに関しては差が出るのは仕方のないことだと思います。歯科衛生士には外来看護師と同等の給与を、歯科助手や受付には、民間企業の事務職等よりも高い給与を。

お金の話をしたいわけではないのですが、それぐらいの価値のある仕事をしてくれていると認識し、評価をしてあげて欲しいと思います。また、スタッフ一人ひとりをしっかり見て、職種だけに捉われない評価をすることも非常に重要なことです。求めるものを伝え、それに対して超えた仕事をしてくれるスタッフに対しては、職種問わず評価し還元すること。そうすることで定着に繋がり、これから新たに入ってくるスタッフも背中を見て育ち、良い組織となっていくのだと思います。

歯科医療の提供のためには、多職種の連携が必須です。
今一度、自院のスタッフへの評価を考え、職種ごとではなく、求める仕事に対する貢献度をしっかりと見て、スタッフさんと関わる意識を見つめ直してみても良いのではないでしょうか?



「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。

歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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